さて、今回の記事はカブトムシ豆知識の第三弾ということで、幼虫の大きさに影響するそのほかの要因というテーマです。
これまでに“カブトムシ豆知識(1)”と“カブトムシ豆知識(2)”で書きましたが、
- カブトムシは成虫になってから大きくならない
- 成虫の大きさは、幼虫のときの大きさで決まる
- 幼虫が大きくなるには、よいエサを十分ながく摂取できることが大事
というのが、カブトムシを大きく育てるために注意すべきことです。
こんなふうに言われると、
「そのほかにカブトムシの成虫の大きさに影響を与える要素はないのか?」
というふうに疑問に思うかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
前回の記事に書き切れませんでしたが、調べてみるとさらにカブトムシの幼虫の成長に影響しそうなことがわかりました。
この記事をお読みいただければ、カブトムシの幼虫が大きく育つためのその他の条件についておわかりいただけると思います。
- 遺伝よりも環境のほうが影響が大きい
- 母親のカブトムシ(メスカブトムシ)の体が大きいと、子どもも大きく育ちやすい
では、まいります。

今回の記事においても、小島先生の“不思議だらけ カブトムシ図鑑”の内容を参考にしております。
より詳しく知りたいかたはぜひご自身で読んでみてください。
カブトムシの大きさに影響が大きいのは遺伝か環境か
ワタクシはカブトムシを育て始めていまが3世代目なのですが、これまでのところ特に遺伝的な差異は見られません。
これまで育てたなかに明らかに大きさが異なるカブトムシがいなかったので、当然なのかもしれませんが。

とはいえ、同じ飼育ケースの中にいる幼虫のサイズにはバラつきがありました。
こう書くと、
「いや、オマエの素人の意見はどうでもいいから、専門的な見解を聞かせろ」
というごもっともなツッコミが入ると思い、専門家の見解を確認してみました。
結論は、
- “遺伝”と“環境”の両方の影響がある
- より影響が強いのは“環境”のほう
です。

幼虫を大きく育てるには「育てかた」が大事ということですね。
以下に、不思議だらけ カブトムシ図鑑(※)からの引用を記載します。
体の大きさがどの程度遺伝するかは、カブトムシではよく分かっていない。
不思議だらけ カブトムシ図鑑(小島 渉 著)P.125,126 より引用
しかし、(中略)、一つの集団の中の体サイズのばらつきは、遺伝的な違いよりも幼虫時の発育環境をおもに反映していると考えてよいだろう。
(中略)
集団間における遺伝的な体サイズの違いは、変動する環境の影響によって通常は覆い隠されてしまうのである。
(太字は、本ブログでの引用時にカブトパパが強調しました)
(※)不思議だらけ カブトムシ図鑑(小島 渉 著)
この記事では短縮名称で、以下では“カブ図鑑”と表記します。
カブトムシのたまごの大きさと幼虫も大きさは関係あるのか
ワタクシがこれまで飼育しているなかで、カブトムシのたまごをたくさん見てきました。
「大きさにはバラつきがあるな」とは思っていたのですが、
- たまごの大きさと幼虫の大きさに相関性はあるのか?
- たまごの大きさと成虫の大きさに相関性はあるのか?
よくわからないですよね。
この件についても、ド素人のワタクシのいい加減な個人的な意見ではなく、専門家の見解を確認してみました。
小島先生の研究によると、
「小さなたまごから孵化した幼虫は小さな成虫になりやすい」
です。
以下に、カブ図鑑からの引用を記載します。
小さな卵から孵化した幼虫は、小さい成虫になりやすいことが分かった。
不思議だらけ カブトムシ図鑑(小島 渉 著)P.1133より引用
つまり、小さい卵から孵化した幼虫は、最初からハンデを背負っているというわけだ。
(太字は、本ブログでの引用時にカブトパパが強調しました)

幼虫を大きく育てるには、大きいたまごから生まれたものを選んだほうがよいということですね。
カブトムシのたまごの大きさ何に影響されるのか
たまごの大きさが幼虫の大きさに影響を与えるとなると、
「んじゃ、たまごの大きさに影響するのは何なのさ?」
という疑問が湧きますよね。
この疑問についても、小島先生の研究が非常におもしろいです。
カブトムシのたまごの大きさに影響をあたえそうな要因としては、
- 母親の栄養状態(よいエサをたくさん食べたか)
- 母親の日齢(若いか、老いているか)
- 母親の体の大きさ
などが考えられますが、実験の結果、たまごの大きさに影響があるのは“母親の日齢”と“母親の体の大きさ”の2点なんですね。
そのなかで特に影響が大きいのが“母親の体の大きさ”です。

大きいメスは、産むたまごのサイズも大きいということですね。
また、年老いた母親は若いころと比べて小さなたまごを生む傾向があるのですが、母親の日齢と成虫時の体のサイズには明確な関係性は見られなかったとのこと。
一方で、母親の体のサイズが大きいほど子の成虫時のサイズも大きいという関係性が見られたそうです。
こちらについても、カブ図鑑からの引用を以下に記載します。
カブトムシにおいては、成虫になってからの餌条件は、卵サイズに影響しないようである。
不思議だらけ カブトムシ図鑑(小島 渉 著)P.130〜132 より引用
(中略)
メスの日齢と卵の大きさの関係を調べた。
その結果、若いころは大きな卵を早いペースで産んでいたが、羽化後数週間経つと産む卵の数は減少し、卵サイズも小さくなっていった。
(中略)
詳細な解析を行なった結果、母親の体の大きさが卵サイズに強く影響することが明らかとなった。
体の大きいメスほど大きな卵を生むのである。
(太字は、本ブログでの引用時にカブトパパが強調しました)
まとめ
- 遺伝よりも環境のほうが影響が大きい
- 母親のカブトムシ(メスカブトムシ)の体が大きいと、子どもも大きく育ちやすい
もっと詳しく知りたいかたは、ぜひ参考文献↓をお読みください。
↓カブトムシ関連記事をこちらにまとめました。 よろしければご覧ください。https://kabutopapa.com/summary-of-beetle-breeding/
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